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空間の感覚法則(三十三間堂)

  • Posted by: 藤田祐一
  • 2008-04-16 Wed 01:12:33
  • 空間考
京都府 京都市
三十三間堂×『ステルス・デザインの方法』

100タイトルまでまだまだ先はあるけれど、
そろそろこれまで空間について考えてきたことや感じてきたことを
まとめていく作業も同時にやるべきかなと思っています。
ちょっと面倒くさい話しやややこしい話しが増えてくるかもしれません。
読む人減っちゃうかなぁ・・・仕方ないか。



メイン


空間の感覚法則

「空間の感覚法則」のようなものがある、とずっと感じてきた。
そしてまず自分を実験台にしてその輪郭をつかみ出してみたい、と思ってきた。

空間の感覚法則とは例えば、
ある特定の場所では「いつも心地よい」とか「いつ行っても心地よくない」とか、
「ここにくるとなぜがホッとする」などといった、空間に対して感じることと空間のあり方
の間になんらかの相関性や規則性がある、のではないかということである。

そういう言い方をすると「それは主観的なもので人それぞれだから」という
反論が出てくる。

確かにその通りであるし、同じ人でもその時の気分やコンディションによっても違う。
空間とは人間の感受性に関わるものである以上、自然科学のように厳密な法則に
よってすべて説明することはできない。

しかし、だからといって空間の法則性を探求することは全く無意味かというと
そうではないと考えている。
またそれを全否定してしまうと「心理学」のような学問は成り立たないだろうし、
「グルメ投票」のような企画で特定の店に人気が集中するという現象も説明できないだろう。

つまり、個人差や主観が作用する評価軸だからと言って、法則性みたいなものが
全く存在しないという十分な理由にはならないということである。

法則というとひとつだけというイメージを持つかもしれないがそうではない。
例えば「ほっと落ち着ける空間の基本構成パターン」というものがあったとすると、
ひとつのパターンではさすがに厳しい気がする。
だけど、10パターンあればどうだろう?かなりの人がどれかに当てはまるのではないだろうか?
10というのは適当だけど、でも1000パターンもあるとは思えない。

例えばテレビドラマの物語の基本構造はおそらく10パターンもないと思う。
少年ジャンプなんか3つぐらいじゃないだろうか。
ジョージルーカスが神話研究で抽出された英雄物語のパターンを使って
「スターウォーズ」を成功させたのは有名な話しだ。
あるいは「マジック」とか「詐欺師」に多くの人が騙されてしまうというのも
人の認知や心理の法則(傾向)をうまく利用しているからだろう。

僕たちの感覚や感性というものは、思っているほど自由でも多様でもない
というのが僕の基本的立場である。

このテーマになぜこだわるかというと、そういう法則性のようなものが
まったく検討・考慮されずにつくられている空間があまりにも多いと思われるからだ。
つまり入場料や税金を払っているのに不快な空間がとても多い・・・・

でも実際にはその法則を見つけ出し活用している人(商売人)も結構いるだろうと思う。
他人に言わないだけで(そりゃ商売ネタをわざわざバラす必要なないですよね)

あるはずだと思いながら個人的想定レベルから抜けられず悶々としているところで
『ステルスデザインの方法』(通商産業研究社)という本と昨年出合った。

多分売れなかったし、話題にもならなかったと思うが(タイトルと装丁が悪い!)
建築分析において画期的な視点を提示している本だと思う(注)。

ポイントをかいつまんで言うと

・航空機や艦船などに活用されているステルス技術を建築に応用すると
 建造物の閉塞感が吸収され周囲の空間全体に広がり感が与えられる

というのがその主張の要旨で、その仕組みとは

・ステルス技術とは、レーダーの電波の反射をあらぬ方向に逸らしてしまう
 形状の設計が基本であり

・この電波の経路を視線の軌跡と置き換えて考えた場合、ステルス的
 な形状・構造の建造物では非ステルス的な建造物(例えば四角い箱
 型のモダニズム建築)より閉塞感が少なく見える=実際より広く見える

・ステルス技術の第一歩は「直角」を追放せよ 等々

といったユニークなもので、著者は長沼伸一郎という数理物理学を専門とする人らしく、
一応合理的な論述と説明が試みられている。

ただ「電波と視線」をどの程度同じように見なせるのか?
電波(視線)を逸らす形状・構造だとなぜ閉塞感が吸収され広がり感がでるのか?
ということについてはまだまだ考察レベルの域を出ていない。

が、体感的にもうなずける部分も多く非常に魅力的な仮説だと思う。
そしてこの仮説自体の真偽よりも空間分析のアプローチとして新しいし、
おそらくいろんな角度から新しいアプローチであり得るのだろう
と思わせてくれたことで勇気づけられたわけである。

そして著者がこの著書の中でステルス的な建築物の代表例として挙げているのが、
「モン・サン・ミシェル修道院」と「三十三間堂」であった。

果たして実際どう感じるのか確かめるべく、早速、フランスへエアーフランスで飛んだ。
というのは嘘で京都へ京阪電車で向かった・・・・

メイン新


何度か訪れているはずなのに、見る視点が違うと見慣れた三十三間堂は
新しい姿で立ち上がってくるようで新鮮だった。

改めて外観を眺め、堂内・周囲を巡ってみるとまず、自分の中の三十三間堂の
外観イメージと実際に歩く距離とのギャップに気づいた。

つまり外観イメージよりもずっとずっと横幅が長いのだ。
冷静に眺めてみると三十三間堂はめちゃめちゃ横長の建物である。
しかし、イメージでは実際よりもキュッとコンパクトに感じていた。

なるほど、著者の主張もまったく出鱈目というわけでもなさそうだ。

著書の中では、三十三間堂が実際よりも広がり感があることの理由として
3つのポイントとして挙げられている。

その1>
建物の下端部分、縁側が四方に張り出す格好で建物の下端を隠していることによって
直角の凹み部分が生まれず除去されているために、ステルス効率がアップしている
①下の凹み新


その2>
屋根が傾斜しているいわゆる伝統建築の「入母屋」形式で、反射を上に逸らし
易い(エコーを弱める)構造になっている。また庇が大きくオーバーハングする
かたちで張り出すことで波を建物内部に吸い込んでしまう格好になっている。
②屋根


その3>
壁面にきれいに並んだ三十三枚の白扉が強い共鳴効果を発生させており、
それが大幅にステルス効果を稼いでいる。白い扉は、規則正しく周期的に並んで
共鳴効果を発生させることで、最も目立つ第一目標物となり、それがこの建物
全体に大きな広がり感を与えている
③共鳴


ではこれらの形状的な特徴によってどの程度の変化が生じるのか?
著書ではCGシュミレーションと独自の計算から、
「三十三間堂はコンクリートの直方体の場合と比べて1.73倍広く感じられる」という仮説を導いている。

まあ、その厳密性はともかく
「建築物の形状の違いが、体感距離の違いとなって現れる」
という考え方自体にはかなり妥当性があるように思えた。

自分でもこういった仮説をどんどん考えていきたいと思っている。
多分建築の専門家には相手にもされないだろうけど。
でも「イノベーション(革新)は専門外の素人の素朴な疑問やとっぴな発想から生まれることが多い」
というマーケティングの法則を忘れてはいけないと思う。

背面


(注)僕が知っている限りでは、他に似たような視点として矢萩喜従朗の「触りの感覚」という仮説がある。
 また機を見て取り上げてみたい。

サッカーW杯・身体空間の戦い(空間小考2)

  • Posted by: 藤田祐一
  • 2006-06-23 Fri 21:25:29
  • 空間考
空間考2
サッカーW杯・身体空間の戦い

ワールドカップの日本代表は本当に残念な結果でした。
いちファンとしては、腹が立つとか、情けないとか、
なんでそこで・・・とか、いろいろな怨念がいまも
渦巻いていますが、ちょっとそれは置いといてプレーを
見ていて感じたことを書いてみたいと思います。
もちろん「空間」がテーマです。

先の2戦は別として、最後のブラジル戦です。

ブラジルセレソンたちのプレーは、凄かったです。

うまいとか早いとか吉野家みたいなことは当たり前としても
彼らと日本人選手のプレーの間には、それだけでは
説明できない根本的な違いがあるように思えました。

まるで日本の選手とはまったく違う空間で
プレーしているかのような印象でした。

言い換えれば、ブラジル選手は日本人選手が
あたかもそこに存在しないかのようにプレーしていました。

テクニックや身体能力や判断スピードだけでは
説明できない違いがあるのではないか?

日本人選手がそれらの諸要素を今後向上させて
ブラジル選手に追いついたとしても
サッカープレーという総合行為においては
まったくかなわないのではないか?

その違いの根底にあるのが
「身体的空間感覚の違い」だと思うのです。

ブラジル選手と日本人は
同じ場所で違う空間を知覚しながら
プレーしていたのではないか?

例えば、太りすぎで今大会絶不調だったロナウドでも
30cmの隙間があれば迷わずシュートを打っていました。

日本人にとっては30cmの隙間はシュートコースではない。
でも彼らにとってはシュートコースになり得る。
これはお互いのプレーの空間性質が根本的に異なっていることを意味します。

仮に日本人が1m単位でプレーをしていて、
ブラジル人は50cm単位だったとします。

そうしたとき、何が起こるか。

サッカーは単純に言って3次元の空間(フィールド)で
手を使わずにボールを運ぶスポーツです。

そのとき1/2の間隔で空間把握&ボールコントロールが
できるということは、3次元空間では2のn乗の選択肢が
持てるということです(あくまで象徴的に言ってですが)

たから、おそらくブラジル選手にとっては前に日本人選手
が居ても、ドリブル&パス&シュートコースだらけで
スティーブンホールの建築のごとく穴だらけの
感覚だったのではないでしょうか。

日本人の解説者や指導者たちはよく「集中」という言葉を
使います。

僕はここに日本が世界に追いつけない根本問題が
潜んでいるように思います。

感覚や運動エネルギーを何かに集中するということは
他の可能性を切り捨ててしまうということです。

日本人が1つの選択肢に気をとられている(集中)とき、
ブラジル人はいくつもの選択肢を瞬時に把握して
最も確率の高い選択肢を迷いなく仕掛けてくるのです。

勝てるわけありませんよね。

この違いが何から生まれるのかはわかりません。

例えば、2次元(平面)で生きてきた農耕民と
3次元(立体空間)で獲物をし止めて来た狩猟民との
違いでしょうか?(ブラジル人って狩猟民???)

日本のサッカーが強くなるためには
身体運動系と認知系の両方がセットになった
優れた空間感覚を養うことが不可欠だと思います。。。

P.S.ジーコも選手としてフィールドにいれば優れた空間
感覚を持っていたのでしょうが、監督になるとフィールド
の外からはその感覚も狂ってしまったのではないでしょうか?

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空間小考1

  • Posted by: 藤田祐一
  • 2006-03-17 Fri 23:41:48
  • 空間考
空間ってどこにあるのか?本当にあるのか?

20060317232939.jpg
ライト設計のヨドコウ迎賓館バルコニーから望む神戸市内

このブログのテーマは一応「空間の快楽」ですが、裏の
思惑には自分を実験台に「空間と心や精神との関係を
指し示すような事例を集めてみたい」という意図がありました。

なぜそのようなことを思い至ったかというと、突き詰めれ
ば「空間ってなに?」とずっと面白がりながらも不思議に
感じ続けているからでしょうね。

「空間」ってほんとうに不思議だと思います。

まず、どこにあるのかがよくわからない。

例えば、「部屋」であれば壁と天井に囲まれたところと
いうのはわかりますね。では何かで仕切られたり、
囲われたりしている状況や状態を空間と呼ぶのか?
でも殺風景な机に花を一輪飾るだけでなにか空間が生
まれたような気になったとしたら、どこからどこまでが
その空間なんだ?と訊かれればよくわからない。

あるいは、空を見上げたとき頭上に広がってる青空を
「地球を包み込む大気圏」だと意識した瞬間に巨大な
空間が出現します。また上の写真のように厚い雲が割れて
太陽の光が差し込んできても、なにやら
「神聖なる空間」の出現を感じたりしますね。

意識や視線のもちかたひとつで空間は現われたり、
消えたりしてしまう捉えどころのないものだったりします。

さらに言えば、「夢」や「空想」などのように心や頭の中
だけで生滅する空間もあります。
最近では外部(外の世界)と内部(心や頭)の中間に位置するような
インターネットというバーチャルな空間まで出現して、
わけがわからない(笑)・・・。

認知科学や建築学など学問の世界ではもしかしたら
「空間」の明快な定義があるのかもしれません。

でもそれはその学問や研究から捉えた空間であって、
その全貌や本質を、つまり人間にとって空間とは何か?
ということを我々はまだほとんど何にも分かっていないのではないか?
そんな気がするのです。

だからこそ、無限の可能性の中から、さまざまな魅力を、
少しづつでもいいから掴み出してみたいと思うのでしょうね。

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